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視覚講座 パソコン操作の体験

選び方に読み上げソフト、キーボードには凸点シール

(1)視覚障害者にとってのパソコン

視覚障害者には、見えないことで、見えにくいことで、色々と大変なことがありますが、情報を得るのが大変なこともそのひとつです。

視覚障害者=点字が使える人は、聴覚障害者=手話で会話ができる人と同様、大いなる誤解です。点字に馴染むには、皮膚感覚が鋭敏な若い時からの訓練が必要なこともあって、視覚障害者の中で点字を利用できるのは、ほんの1割ほどと言います。

でも、パソコンなら、どの年代からでも使えますので、いつでも、どこからでも、様々の情報を得たり、情報を発信することができるようになります。

(2)パソコンを使うには

パソコンを使うには、はい、パソコンが必要です。普通の人、つまりスーパーコンピューターなんて使わない人 (笑) が使うパソコンには、大きく分けてWindowsとMacの2種類がありますが、日本のパソコンで音声読み上げ関連ソフトを使うとなると、Windowsパソコンになります。

(3)パソコンの種類

パソコンには、デスクトップパソコンとノートパソコンがあります。

デスクトップパソコンは、パソコン本体と画面とキーボードがそれぞれ独立しています。ノートパソコンは、大きめのノートくらいの大きさで、本体と画面とキーボードがひとつにまとまっています。

使いやすさや価格ではデスクトップパソコンですが、持ち運びを考えるとノートパソコンになります。こういった講座に参加したいのであれば、普段から慣れている自分のパソコンのほうが覚えるのも速いので、ノートパソコンということになります。ちなみに、今読んでいる「パソコン操作の体験」は、ノートパソコンの使用を前提として記しています。

(4)パソコンにはソフト

パソコンはソフト無ければただの箱。パソコンを使うためにはソフトが必要です。ソフトには、基本ソフトとアプリケーションソフトがあります。

基本ソフトは、オペレーティングシステム(OS)とも言います。パソコンの電源を入れると、パソコン操作の土台となる基本ソフトが起動します。この講座でサポートできるパソコンの基本ソフトは、Windows11とWindows10です。

ではアプリケーションソフトとは何でしょう。パソコンは基本ソフトで起動しないと何もできませんが、起動しただけでは何もできません。ワープロやメールやインターネットといった何かをするためには、そのためのソフトが必要となります。パソコンで色々なことをするためのソフトがアプリケーションソフトです。応用ソフトとも言います。

(5)視覚障害者用ソフト

視覚障害者がパソコンを使うには、画面に表示されている情報を読み上げてくれる音声読み上げソフト(スクリーンリーダー)が必要です。Windowsにも読み上げ機能(ナレーター)は入っていますが、まだまだ充分とは言えないレベルですので、ナレーター以外の読み上げソフトが必要となります。

この講座では、音声読み上げソフトとして、高知システム開発の PC-Talkerを用いています。

音声読み上げソフトは、男性音や女性音といった声の種類や声の高さ、話す速さなど、聴きやすいよう自分好みに調整できます。パソコンに自分を合わせるのではなく、自分にパソコンを合わせましょう。

音声読み上げソフト以外にも、メールのソフトや読書支援ソフトなど、視覚障害者が使いやすいよう工夫したソフトがあります。

(6)さわってみましょう

パソコンは、パソコン本体、画面、キーボードなどで構成されています。

電源を入れる前なら、どこを触っても反応しません。安心して確かめられます。

1 パソコン本体

パソコン本体で一番使うのは、電源スイッチです。プリンターやイヤホンと接続するための挿し込み口がどこにあるかも知っておきましょう。

2 パソコンの画面

パソコンの画面は、テレビのようなものです。直接操作することはありませんが、パソコンの設定を確かめる時(確かめてもらう時)には必要となります。

3 キーボード

画面の手前に置きます。文字の入力やパソコンの操作で用います。

文字入力で用いるアルファベットキーの周りを操作をするためのキーが囲んでいます。

主なキーに凸点シールを貼っておくと、キー操作での起点となります。

4 マウス

画面に表示された機能を選んだり、実行したりできます。マウスを発明した人にはネズミの姿に見えたので、マウスと名付けられました。ミッキーネズミのマウスです (笑)

マウスでできることは、キーボードでもできます(ってことになっています)

ノートパソコンには、マウス代わりのタッチパッドが付いています。

タッチパッドは触ると選ばれているところ変わってしまうので、停止しましょう。

但し、この講座ではマウスを使いませんが、サポートを頼む時には必要となります。

タッチパッドを完全に停止してしまうと(困ったことにマウスでないと効かない機能もあり)不便ですので、一時停止に留めましょう。使わなくてもマウスを挿しておくと停止できる設定があったら、そのほうが無難です。

キーボードでのパソコン操作に慣れていない自覚のあるサポーターさんは、マウスを持参すると心の平安が保てます (笑)

(7)パソコンを起動

パソコンは、電源スイッチを押すだけで起動します。電源スイッチの位置はパソコンによって違うので、自分が使うパソコンの電源スイッチの位置を覚えましょう。

電源スイッチを押すのは1秒で十分です。ちゃんと押せてるか心配なのでと何度も押すと、パソコンの電源を切ってしまいます。

パソコンの基本ソフトが起動すると、今度はアプリケーションソフトの組み込みです。電子レンジに温める時間が必要なように、パソコンにも役立てるようになるまでの準備が色々あるのです。

「PC-Talkerを組み込みました」が聞こえたら無事準備完了、どうぞお使いください。

(8)最初に終了、そして起動

最初に体験したのはパソコンの起動でしたが、次なる体験はパソコンの終了です。

パソコンの起動と終了を自分でできれば、後は自信を持ってドンドン試せます。

パソコンでは終了を シャットダウン と言います。

パソコンは、以下の順序でシャットダウンできます。

  1. 最初にキーボードの一番左下から3つ目にある Windowsキーを押しましょう(フルキーボードなら Windowsキーは左下から2つ目です)
  2. 押すと何やら読み上げますが気にしないで、↓キーをサポーターさんに教えてもらい、中指を置いてください。
  3. ↑キーを2回押すとシャットダウンと読み上げます。今度は Enter(実行)です。
  4. Enterキーは、↓キーの2つ上にある大きめのキーです。Enterキーに指を移動してください。(サポーターさん、よろしく)
  5. Enterキーを押すと、またシャットダウンと読み上げますので、また Enterです。
  6. これでパソコンをシャットダウンできますが、起動時に準備をしていたように、終了時にもパソコン内を整理整頓する時間が必要です。
  7. 無事にシャットダウンできたら、今度はパソコンの起動です。パソコンでも急がば回れ。一人でできるモンの自信が付くまで、起動と終了を繰り返し練習しましょう。

シャットダウンについて一言

通常は10秒から30秒くらいでシャットダウンできますが、たまーにパソコンが「Windowsの準備をしています。電源を切らないでください」と読み上げ始めることがあります。

パソコンは電子レンジや冷蔵庫と違って、使い勝手の改善のためのソフトの入れ替えがありますが、使っている時には更新できないので、使い終わったタイミングで更新作業を開始します。

パソコンがシャットダウンできない時は電源ボタンを長押しすると終了できますよ!と教えてくれる人がいますが、更新作業とは、言ってみれば建物の柱や床の取り換え作業のようなもの。取り換えの途中で止めちゃったら柱も床も無いわけですから建物が崩れます。パソコンも同じで、途中で止めちゃったらパソコンが壊れます。くれぐれも電源ボタンで強制終了させたりしないで、たまには素直に待ちましょう (笑)

(9)それぞれのキーの紹介

パソコンのキーボードで、よく使うキーを紹介します。キーの位置と機能を憶えましょう。

デスクトップパソコンのフルキーボードは、キーの位置が一緒ですが、ノートパソコンでは、アルファベット以外のキーの位置が微妙に違いますので、位置の確認が必要です。

1 確認はキーボードガイドで

PC-Talkerに付いてくる キーボードガイド を使うと、押したキーの名前を読み上げてくれます。

名前を読み上げる以外は何も起こりませんので、安心してキーの確認ができます。

キーボードガイドは AOKメニュー の アクセサリー の中にありますが、今からパソコンを体験する人にAOKメニューの中から探しなさいなんて無茶そのもの。すぐ起動できるよう(もうすぐ紹介される)マイスタートメニューに追加してもらいましょう。(サポーターさん、よろしく)

キーボードガイドは Windowsキー を続けて3回押すと終了します。

そして、この説明をしている間に、サポータさんはキーボードガイドを使える状態にしておいてくださいね。

2 ホームポジションでアルファベット

タッチタイピングでは、どの指でどのキーを押すかが決まっています。そして、基本となる指の置き方を ホームポジション と言います。

左手のホームポジションは FDSA、右手のホームポジションは JKL;です。

ホームポジションの探し方ですが、キーボードの最下部中央にある横幅の広いキー(スペースキー)の両脇の外側に左右の人差し指を置き、一段上のキーとキーとの隙間に沿って指を滑らせると、左手人差し指はFキーに、右手人差し指はJキーにたどり着きます。キーの上部に小さな突起が付いていたら、それがFキーとJキーです(以下、Fキーは、Fと略します。それ以外についても、キーは略します)

FとJに指を置いたら、左手中指はDに、薬指はSに、小指はAに置きます。

右手中指はKに、薬指はL、小指は;に置きます。

といったあたりについては、「操作の体験」に続いて行なう「文字入力の体験」でたっぷりできますので、ホームポジションに指を置いておくことだけ意識しながら、先に進んでください。

3 アルファベットの外側も

アルファベットキーの外側のキーについても確かめましょう。

最初は左側です。一番上に Esc、その下に 全角半角、更に下に Tabがあります。

左手のホームポジションのFDSAに指を置き、Fを押したら Esc、Fを押したら全角半角と、反時計回りに無変換キーまで左側を半周し、最後に左親指でスペースキーを押しましょう。

次は右側です。JKL;に指を置き、Jを押したら Back Space、Jを押したら Enterと、時計回りに変換キーまで半周し、最後に右親指でスペースキーを押しましょう。

Escと Back Spaceの間には、F1から F12までのファンクションキーがあります。

フルキーボードのファンクションキーは4つごとに谷間がありますが、ノートパソコンは等間隔で並んでおり分かりにくいので、F4と F8と F12に凸点シールを貼ってもらいましょう。

4 矢印キー

矢印キーのホームポジションは ↓キーです。↓キーに中指を置くと、左に ←キー、右に →キー、上に ↑キーがあります。

フルキーボードを用いているなら、↑キーの上に Endキーが、更にその上に Homeキーがあります。Endキーの左に Deleteキーがあります。

よく使うキーなのに分りにくいキーについては、凸点シールを貼ってもらいましょう。

5 数字キー

数字キーのホームポジションは 5です。

5に中指を置き、左の4は人差し指で、右の6は薬指で押しましょう。

456に指を置いたままの状態で1段上に上げると、789です。

456に指を置いたままの状態で1段下に下げると、123です。

1の1段下に 0があります。親指で押しましょう。

0の右には .があります。薬指で押しましょう。

住所などを入力するときの −は、9の右斜め上にあります。

−と、−の下にある +と、その下にある Enterは、小指で押しましょう。

(10)操作キーの役割

操作キーは25個あります。それぞれの役割を満遍なく説明したいところですが、慣れる前からいきなり詳しく25全ての説明をされても覚えられる人はそんなに、いや多分滅多にいないでしょう。

まして、今回は体験講座。必要最小限にしぼった簡単な説明に留めます。

アルファベットキーの外側にある操作キーを、左上から半時計回りに説明します。

Escキー(エスケープキー)

Escキーはキーボードの一番左上にあります。操作を取り消したい時に押します。

全角半角キー

パソコンで用いる文字には、半角文字と全角文字があります。半角文字は全角文字の半分の幅です。

パソコンへの指示に用いる半角英数文字と、日本語の入力に用いる全角文字の切り替えに用います。今回の講座では、メールアドレスの入力以外は、全角文字を使います。

半角文字と全角文字の入力モードの切り替えは、全角半角キーで行ないます。漢字変換ができなかったら、変換停止になっていますので、全角半角キーを押してください。

Tabキー

次の項目に移動します。ホームページの操作では、次のリンクに移動します。

ふたつ先に出てくる Shiftキーを押したまま Tabキーを押すと、手前のリンクに逆移動します。

更に先に出てくる Altキーを押したまま Tabキーを押すと、そのとき開いている画面を順繰りに切り替えます。

Caps Lockキー

アルファベットや数字を入力する英数モードに切り替わります。

Shiftキー

アルファベットの小文字を大文字に切り替えるなど、逆の操作に切り替わります。

Ctrlキー

Ctrlキーを押すことで、操作を呼び出します。Ctrlキーを押したまま○○キーを押すといった、ショートカット(近道)操作で活躍します。Ctrlキーを小指で押すと、次の操作がハッピーになります。

Windowsキー

マイスタートメニューを呼び出します。Ctrlキー同様、Windowsキーを押したまま○○キーを押すといったショートカット操作で活躍します。

Altキー

メニューを呼び出す時に使います。Altキーもショートカット操作で大活躍します。

Altキーを押したままスペースキーを押し、↑キーを押すと閉じるに移動するので Enter。マウスで操作している人は画面の右上隅にあるとても小さな×ボタンに移動させないと閉じられず、毎回苦労してるんですね。マウス操作に慣れたとしても面倒なことには変わりません。

Altキーに乗せる指を工夫すると、次の操作がハッピーになります。左手の薬指で Altキーを押したまま左手の人差し指でスペースキーを押すと(はい、やってみましょう)左手の中指がCキーの上に乗っています。Cは Clause(閉じる)のC。そのままCキーを押すと↑キーで閉じるに移動しなくても、あっさり閉じます。

こういった使って便利なショートカットキーは、たくさん紹介できますので、お楽しみに。

と楽しみが増えたところで、ひとつ質問。シンキングタイム。Shiftキーや Ctrlキーや Windowsキーや Altキーといったショートカットキーとして用いることが多いキーは、スペースキーの右側にもあります。どうしてだと思いますか?

ショートカット操作では、Ctrlキーや Altキーを押したまま○○キーを押すといった使い方をします。Ctrlキーを押したままVキーくらいまでなら左手の小指と人差し指で届きますが、印刷(Print)のショートカット操作でCtrlキーとPキーを押すとなると、左手では届きません。そんな時 Ctrlキーは左手で、Pキーは右手でなら楽ちんですよね。片側からだと届かない文字も、反対側からなら届きます。そんな時のため、両側にあるのです。

無変換キー

カタカナ変換に用います。

スペースキー

スペースキーを押すと、スペース(空白)が入ります。文字と文字の間をに空白で区切りたい時に用います。

文字を入力しスペースキーを押すと、その文字が変換されます。左手と右手の人差し指から小指までをホームポジションに置いてみてください。左手と右手の親指はどこにありますか? スペースキーの上にありませんか? そーです。指をホームポジションに置くことで、キーボードから指を離さず入力できるのです。

変換キー

確定した漢字を、違う漢字に変換できます。

カタカナ・ひらがなキー

メニューを呼び出します。英数入力をひらがな入力に戻せます。

Applicationキー

もっぱら使うサブメニューが呼び出せます。マウスの右クリックと同じです。

Enterキー

指示を確定させ実行させます。文章を書いている時には Enterを押すことで改行できます。

BackSpaceキー

ひとつ手前の文字が消せます。

Deleteキー

右側にある文字を消します。

Homeキー

先頭に移動します。行の中では行頭に移動します。Ctrlキーを押したまま Homeキーなら、文頭(文章の最初のページの1文字目)に移動します。

Endキー

最後に移動します。行の中では文末に移動します。Ctrlキーを押したまま Endキーなら、文末(文章の最後のページの最後の文字)に移動します。

Insertキー

挿入モードと上書きモードを切り替えます。文章を書き直している時、前にあった文字が消えてしまったら、上書きモードになっていると言うことですから、Insertキーで挿入モードに切り替えましょう。

PageUpキー

次の画面に移動します。音楽再生ソフトでは、次の曲に移動します。

PageDownキー

前の画面に移動します。音楽再生ソフトでは、前の曲に移動します。

NumLockキー

数字入力モードに切り替えます。数字キーを押したのに文字の位置が移動してしまったら、NumLockキーを押して数字入力に戻しましょう。

(11)キーボードに凸点シール

凸点必ず Tab、Windows、F、J、−、Application、Enter、↓、5

必要なら Delete、Home、(ノートパソコンでは F4、F8、F12)

弱視なら Print Screen(Shift + Alt + Print Screenでハイコントラストの切り替え)

以上で、パソコン操作の体験を終わります。文字入力の体験にお進みください。

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